一人ひとりの能力が発揮できる場所にしたい
介護の仕事に携わって半世紀以上。
大きな特別養護老人ホームから小さなグループホーム、時には保育の現場など、さまざまな場所で多くの方と関わってきました。
その中で感じるようになったのが、立派なマニュアルや仕組みがあっても、それだけでは一人ひとりの個性や力を十分に活かせないことがある、ということでした。
介護をするスタッフも、介護を受ける方も、一人ひとり違います。
もっとその人自身を見て、その人が持っている力を活かせる介護ができないだろうか。
そんな思いから、2009年に認知症デイサービスを始めました。
自分が思い描く介護の楽しさも難しさも経験しながら、2013年、この場所へ移りました。
街なかでありながら自然も残るこの場所で、元気を取り戻された方、穏やかに最期を迎えられた方など、本当にたくさんの方と出会ってきました。
利用者様やご家族、ご近所の皆様など、多くの方に支えていただきながら、みんなで泣き、みんなで笑える「明日見の家」ができました。

「できないこと」より、その人の「できること」を
年齢を重ねたり、介護が必要になったりすると、どうしても「できなくなったこと」に目が向きがちです。
でも、その方がこれまで生きてきた中で培った経験や、その方にしかない個性、得意なことまでなくなるわけではありません。
明日見の家では、「できないからやってあげる」だけではなく、その方が今できることを大切にしたいと考えています。
「あれをしなさい」「これをしなさい」と無理に何かを求めるのではなく、その日の体調や気持ち、その方自身のペースを大切にする。
話したり、笑ったり、食事を楽しんだり、時には一緒に料理をしたり。
そんな何気ない毎日の中にも、その人らしく生きる時間があると思っています。
一日一日を、その人らしく
人生100年時代と言われるようになりました。
だからこそ私は、これからの一日一日を大切に、ありのままに生活していただきたいと思っています。
嫌なことは、ほどよく忘れて。
楽しいことを見つけながら、のんびりと。
誰かに決められた毎日ではなく、できる限りその方自身が「今日はこうしたい」と思える生活を大切にする。
明日見の家は、単に介護を受けるための場所ではなく、その人がその人らしく暮らすための「家」でありたいと思っています。

「ここで過ごして良かった」と思っていただけるように
施設を運営していると、入居者数や介護度など、さまざまな数字を見る必要があります。
でも、その数字の向こう側にいるのは、一人ひとり違う人生を歩んできた「人」です。
私は、一人の方との出会いを、単なる「入居」として考えたくありません。
その方の人生に関わらせていただく以上、最後まで一人の人として向き合いたい。
そしていつか、
「明日見の家で過ごして良かった」
と思っていただけたら、それ以上のことはありません。
地域の人たちが自然と集まる場所へ
明日見の家は、高齢者とスタッフだけの閉じた場所ではなく、いろいろな人とのご縁が生まれる場所にしていきたいと考えています。
ここで暮らす方はもちろん、地域の方や子育てに悩む方、自分の得意なことを誰かのために活かしたい方など、世代や立場を超えて人と人がつながっていく。
そんな場所に、少しずつ育てていけたらと思っています。

明日見の家・施設長
那須 志美子